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「LDLコレステロール値が高い」を放置していませんか?あなたとご家族を心臓の病気から守るために「家族性高コレステロール血症(FH)」早期診断の重要性

「健康診断で悪玉コレステロールと呼ばれるLDLコレステロール値(LDL-C値)が高いと言われたけれど、何も症状がないし、ついそのままにしている……」
そんな方はいらっしゃいませんか?
もしかするとそれは遺伝性の脂質異常症「家族性高コレステロール血症(FH)」かもしれません。
本対談では、日本におけるFH治療の第一人者である斯波真理子先生と、30代でFHの診断を受け、約20年にわたり治療を続けているAさんをお迎えしました。
長年、二人三脚で歩んできた「主治医と患者」ならではの温かいエピソードを交えながら、早期発見が患者さんと大切なご家族の未来をどう守るのかを紐解きます。

それではまずは、FHがどのような病気なのかを簡単に見ていきましょう。

家族性高コレステロール血症(FH)の基本がわかるQ&A

Q どんな病気ですか?

A 生まれつき、血液中のLDL-C値が著しく高くなる遺伝性の病気です。およそ「300人に1人」の割合で患者さんが存在するとされており、決して珍しい病気ではありません。

Q FHの代表的な身体的サインはありますか?

A コレステロールが皮膚や腱などの組織にたまることで、手足の関節などに黄色っぽいコブ(黄色腫)ができたり、アキレス腱が厚くなったりする(アキレス腱肥厚:男性8.0 mm以上、女性7.5 mm以上)といった、目に見える特徴が現れることがあります。

Q 治療せずに放置した場合のリスクは?

A 自覚症状がないまま血管にコレステロールがたまり、血液が通りにくくなることがあります。その結果、40代〜50代、場合によってはさらに若くして心筋梗塞や狭心症といった重い心臓病につながるリスクが高まります。

参考資料:成人家族性高コレステロール血症診療ガイドライン 2022(フォーカスアップデート 2025)
https://www.j-athero.org/jp/wp-content/uploads/publications/pdf/JAS_FH_GL2025.pdf

斯波 真理子 先生

斯波 真理子 先生

大阪医科薬科大学 循環器センター 特務教授
国立循環器病研究センター研究所にて、脂質代謝・動脈硬化領域の研究に従事。
2018年より厚生労働省「原発性脂質異常症に関する調査研究班」班長を務める。
現在は大阪医科薬科大学 循環器センター 特務教授。日本動脈硬化学会ではFH委員長、FHガイドライン検討委員長を務めるほか、日本動脈硬化協会 理事を務める。2024年、日本動脈硬化学会学会賞受賞。

Tさん(仮名・50代男性)

Aさん (仮名・50代男性)

30代で家族性高コレステロール血症(FH)と診断され、当初は強い不安を抱えたが、斯波先生と出会い、前向きに病気と向き合うように。現在は治療を継続しながら、家族とともに明るく毎日を過ごしている。

家族性高コレステロール血症(FH)という病気について

斯波 真理子 先生

思えばAさんとのお付き合いももう20年近くとなっています。今日は改めてよろしくお願いします。

はい、いつもありがとうございます。よろしくお願いします。

Tさん(仮名・50代男性)
斯波 真理子 先生

まずは、Aさんに、FHと診断された時のお話を伺いたいと思います。

はい、診断のきっかけは30歳を過ぎた頃に受けた人間ドックです。そこで私のLDL-C値が異常に高いことを初めて知りました。最初に受診した病院では、お薬を飲んでも思うようにLDL-C値が下がらず、自分でもインターネットで調べていたらFHについてのWEBサイトを見つけました。そこには「皮膚の下に黄色っぽいコブ(黄色腫)がある、手がゴツゴツしている、アキレス腱が厚い(太い)」など、私にぴったりと当てはまることが書かれていて驚きました。そのWEBサイトを作られた先生に連絡を取って受診したところ、遺伝子検査でFHの診断が付きました。
 私は、診断に結び付きましたが、LDL-C値が高いことがわかってもそれを軽視して診断が遅れてしまう人も少なくないと聞いています。

Tさん(仮名・50代男性)
斯波 真理子 先生

そうですね、LDL-C値が高いこと自体は痛くもかゆくもありませんから、動脈硬化が進んで、心筋梗塞などの重い心臓の病気に至って初めて診断が付くという人がたくさんいらっしゃいます。40代、50代になって、動脈硬化が進行してしまった状態でやっと診断が付いた患者さんも多く見てきています。
 一般に、LDL-C値が高い病気を脂質異常症(以前は高脂血症と呼ばれていました)と呼びますが、その中でも遺伝性のもの、すなわちFHは生まれつきなので若いうちから動脈硬化が進行してしまいます。動脈硬化の進行度合いは「LDL-C値×年数」で決まる1)とも言われています。同じ年齢で同じLDL-C値であっても、大人になって高値になった方と、FHでは、「LDL-C値×年数」の値が全然異なります。ですから、FHをとにかく早く診断する、今、診断する、そしてその時点の動脈硬化の進行度合いを確認しながら、速やかに強力にLDL-C値を下げることが大切です。

FHは遺伝ですから、一人が見つかることで家族のFHも見つけ出すことができますよね。私も、子どもがFHを受け継いでいますので、斯波先生に相談して、早くから治療を始めていただいています。

Tさん(仮名・50代男性)
斯波 真理子 先生

おっしゃる通りです。ご家族の診断をきっかけに見つかるケースは非常に多いです。「LDL-C値が180 mg/dL以上」と「アキレス腱が厚い(太い)」が重なるとFHの可能性が高まると思います。一度、ご自身のアキレス腱を他の人と比べてみていただけるとよいと思います。また、親族に心臓の病気をお持ちの人がいらっしゃる場合も「もしかして自分もFHかもしれない」と考えるポイントになります。

私は幸いにしてインターネットで受診先を見つけることができましたが、FHを疑った場合、どこを受診すればよいのでしょうか。

Tさん(仮名・50代男性)
斯波 真理子 先生

「循環器」や「代謝」などが標榜されているクリニックを受診いただくのがよいと思います。また、日本動脈硬化学会のWEBサイト2)にはFHに詳しい医師がいる医療機関が紹介されています。
 FHの検査は、レントゲンやエコー、血液検査など簡単にできるものばかりです。

家族性高コレステロール血症(FH)の治療について

診断が付いた時に思ったのは「なんで私が…」でした。そこでFHでは若いうちから動脈硬化が進んでいるという話も聞いて「命の危険」を感じました。
 自宅から通える病院を紹介いただいて斯波先生に初めてお会いした時、「よく心臓の病気を起こす前に来てくださいましたね」と言われ、「よかったよかった」と喜んでいただいたのを覚えています。

Tさん(仮名・50代男性)
斯波 真理子 先生

そうですね。検査をすると、やはり動脈硬化が見られましたので、すぐにその時にできる最善の治療を始めました。

斯波先生からこの病気についてわかりやすく説明していただいて、「治療すれば大丈夫」とも言っていただいて、診断時に感じた「命の危険」を治療へのモチベーションに切り替えることができました。自分がやるべきことがわかった感じです。それからは、食生活を見直し、運動を始めて、先生と一緒に治療に真剣に向き合うことができました。

Tさん(仮名・50代男性)
斯波 真理子 先生

その頃は、2週間に1回、病院で数時間かけて太い針から血液を体外に循環させ、悪玉コレステロールを機械的に除去する、LDLアフェレシスという治療が必要でしたが、ここ10年でFHのお薬が大幅に進歩しています。現在では、生活習慣の改善とお薬を組み合わせることで、十分にLDL-C値を下げられる方が増えているのです。

私の場合も、お薬を中心とした治療になって生活が随分と楽になりました。

Tさん(仮名・50代男性)
斯波 真理子 先生

このように、今ではFH患者さんの動脈硬化の進行をお薬で抑えることが期待できるようになっています。診断されたことで、これからは動脈硬化が進まないと考えると、診断されたことは絶望ではなく、希望であると言ってもよいのではないでしょうか。だから私はいつも「見つかってよかった」とほっとしています。

斯波先生は、いつも本当に私たちのことを気にかけてくださいます。「最近、変わったことはない?」、「食欲はありますか?」、「体重は変わってませんか?」などとお声がけをいただきます。

Tさん(仮名・50代男性)
斯波 真理子 先生

FHの治療は一生続きます。だからこそ、定期受診をメリットと捉えられないかといつも考えています。私たちはどうしても年を重ねると、さまざまな病気や症状が出てきます。受診時の検査でそれらを早く見つけ出せることもメリットの一つだと思います。まさに、一つの病気があることでかえって健康に気を配れる「一病息災」ですね。
 また、治療費について心配される方もいらっしゃるかもしれませんが、その点も含めて主治医や医療スタッフにお気軽にご相談いただければと思います。

家族性高コレステロール血症(FH)の遺伝について

斯波 真理子 先生

FHは遺伝性の病気です。お父さんかお母さんがその病気を持っていれば生まれた子どももこの病気を引き継ぐ可能性があります。これは確率の問題ですから、生まれた子が全員引き継ぐことも、全員そうでないということも起こり得ます。
 遺伝性の病気ということは、FHの患者さんが一人見つかると、ご家族からもFHの方が見つかる可能性があるということです。もし、患者さんのご両親のFHが見つかれば、ご両親が心臓の病気を発症する前に治療を開始できるかもしれませんし、お子さんのFHが見つかれば、早期から必要に応じて治療を始めることができます。

私が診断された当時、既に結婚して子どももいました。隠してもしょうがないので、病院で言われたことをそのまま妻に伝えました。「ちょっとやばい病気かもしれない」と。その後、この病気のことを知るにつれて、動脈硬化が進み、命にかかわる前に見つけられてよかったという思いを夫婦で共有できるようになりました。子どもについてはすぐに診断が付きました。
 現在、子どもは十代になっていますが、私が両親を恨まなかったように、私から受け継いだこの病気のことを受け止めてくれています。「病気であるかどうかより、生まれてきてよかった。大切なこの体をできるだけ健康に保っていこう」と、家族で同じ思いを共有できています。

Tさん(仮名・50代男性)

もしかして私も…と思った方へのメッセージ

私は30歳を過ぎて診断が付きましたので、ある程度の動脈硬化の進行がみられました。一方、子どもの血管を見ると、本当にピカピカです。若いうちからこの病気にきちんと向き合えば、きれいな状態を維持できると実感しています。
だからこそ、「もしかして」と思った方には、ぜひ早めに受診して、ご自身の大切な血管を守っていただきたいですね。

〇〇〇〇
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最後に改めてお伝えしたいことは、この病気と診断されることは絶望ではなく、希望だということです。早く診断されて治療を受けることで将来の心血管イベントリスクを低減できる可能性があるのです。「LDL-C値が180 mg/dL以上」と「アキレス腱が厚い(太い)」に心当たりがある方は、ぜひ今すぐに、ご自身とご家族の未来のために大切な一歩を踏み出してください。

まずは、ご自身の健康診断結果にある「LDL-C値」に目を向けること。そして少しでも心当たりがあれば、放置せず、すぐに医師に相談することが、あなた自身、そして大切なご家族の健康な未来を守ることにつながります。

1)Ference BA et al. J Am Coll Cardiol 2018; 72: 1141-1156.
2)日本動脈硬化学会WEBサイト「家族性高コレステロール血症(FH)の紹介可能施設検索」
https://www.j-athero.org/fh_facility_search/index.html

※本記事は、「難治性家族性高コレステロール血症患者会」の会員様にご協力いただき制作いたしました。
後援:日本動脈硬化協会

JUX_MA_014_01(2026年9月作成)